α-ケンタウリ星通信

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『ハローサマー、グッドバイ』(マイクル・コーニイ)

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 お久しぶり。さて今回はマイクル・コーニイの『ハローサマー、グッドバイ』を読んだ感想です。

 

 どうやら青春SFの傑作として名高いらしいこの作品、正直言ってしまうと途中までは非常に退屈だった。主人公ドローブ少年のとくに面白くはない恋愛模様がただひたすらに展開されていって、僕は、早く何か起れ、陰謀に巻き込まれろ、そんでもって世界が破滅の危機に瀕しそれを救ってくれとひたすら思いながら読み進めた。まあそこはさすがに傑作と呼ばれるだけあり、後半になると話の裏に隠れていたものの輪郭がだんだんはっきりしてきて、しかも僕の思ったように主人公が陰謀に巻き込まれ、世界は破滅の危機に 瀕してきたのでおもしろく、後が気になって仕方がないくらいだった。(やはりこれってSFの王道展開!)ただ主人公は世界を救いはしなかったけれど。よく企業の宣伝では「ラストのどんでん返し」というまるで推理小説みたいな文句が使われているが、まさにこれで、前半の何でもないような描写がラストに密接に関わっている。はっきりとした終わり方をしないのも良い。とはいっても、この小説のメインとなっている謎は、それまでの描写から容易に想像はできるので変にモヤモヤはせず、良い読後感だった。

 それにしても、ここまでまっとうな、物語然とした夏はないと思う。いや、物語なのだから当然なのだけれども、それにしてもというくらいだ。続編『パラークシの記憶』がこの小説の時代からだいぶ時間が経過しているらしいのは、もしかすると、こんなにまっとうすぎる夏を描いてしまったために、この世界の謎の続きを見せるには不向きだと作者が判断したからかもしれないなあ、などとも思う。とりあえず続編気になるので読みましょうね、あとは作者のもう一つの人気作品らしい『ブロントメク!』も。

 

 実は前々記事の『世界の涯ての夏』、前記事の『逆行の夏』に本記事と、タイトルに「夏」が入る小説を読もうキャンペーンを一人で行っていました。が、案外おもしろそうな小説が多くてきりがないのと、自分の遅読っぷりを鑑みるにこんなことやってる間に夏が終わってしまうと思ったので、いったんこれで終了します。みなさんもぜひ自分でやってみては?

 それではまた。